1.最初に

こんにちは、杉山です。プロツアーやRPTQといった大きな大会も終わり、スタンダード環境も煮詰まってきた時期ですね。
今回は自分も出たRPTQを踏まえ、週末に控えるGPシンガポールに向けて、黒系ミッドレンジ/コントロールの形をいくつか考えてみたいと思います。

2.環境での立ち位置

最初にRPTQの簡単な報告を。自分は同じジョニースポンサードの松本くん(白青カーン)、Hareruya Hopesの平見くん(赤黒アグロ)とチームを組み、青黒ミッドレンジ担当で参加しました。 個人成績は5-1-1、チーム成績は5-2でした。

使用したリストはこちら。


スギヤマ ユウヤ ― 『青黒ミッドレンジ』
RPTQ チームスタンダード(2018/6/10)

     
- 土地26枚 -
4 《島》
7 《沼》
2 《イフニルの死界》
1 《愚蒙の記念像》
4 《霊気拠点》
4 《異臭の池》
4 《水没した地下墓地》

- クリーチャー21枚 -
4 《光袖会の収集者》
4 《才気ある霊基体》
4 《機知の勇者》
2 《貪欲なチュパカブラ》
4 《スカラベの神》
1 《奔流の機械巨人》
2 《歩行バリスタ》

- 呪文13枚 -
4 《致命的な一押し》
2 《喪心》
2 《至高の意志》
4 《ヴラスカの侮辱》
1 《死の権威、リリアナ》

- サイドボード15枚 -
2 《至高の意志》
4 《強迫》
2 《アルゲールの断血》
1 《人質取り》
2 《喪心》
3 《悪意の騎士》
1 《奔流の機械巨人》



このデッキについての解説は本題ではないので割愛させていただきます。Hareruya Prosの津村さんが詳細な記事を書かれているので、そちらを参考にしましょう($∀$ )

RPTQで自身もそれなりの戦績を上げ、他プレイヤーの活躍を聞いているにもかかわらず、自分は「このデッキをGPシンガポールで使うことはないだろうな」とプレイしながら考えていました。

理由はいくつかありますが、対ビート・対コントロールともにメインの不要牌が多く、それを《機知の勇者》で循環させるデッキなのにも関わらず、その《機知の勇者》自体がビート相手に不要牌になり、かといってコントロール相手のメイン勝率も良いわけではない…というのが最も大きなものです。


実際、RPTQでコントロールに5回あたり、メインを取れたのは1ゲームだけです。もっとも、残りの2回は赤黒でこちらも両方メインを落としていますが(笑)それだけサイド後に相手にアジャストするのが得意なデッキということでもあるのでしょう。

このデッキの最近の好成績も、PTではコントロールを好むプレイヤーが増える傾向にあること、RPTQでは約30%強の分布でコントロールが存在したため…と考えています。厳しいことを書きましたが、対コントロールのサイド後はかなりの有利がつくためです。

しかし、グランプリではコントロールが数を減らし、赤系ビートがより数を増やすことが予想されます。にも関わらず、わざわざメインに積まれている《貪欲なチュパカブラ》が赤相手にはサイドアウトされるという現実。ソーサリータイミングの4マナ非追放除去を、サイド後の赤いデッキは許してくれないのです。



3.今後の方向性

こうなってはクリーチャーベースのミッドレンジに固執する理由もありません。

可能性のある方向性としては、メインの《至高の意志》を増量し、あわせて《奔流の機械巨人》も増量した、よりインスタントベースな形。《光袖会の収集者》をサイドに下げ、ドローを《アズカンタの探索》に任せた、青黒ミッドレンジと青黒コントロールの間のような形はどうでしょうか。


早速RPTQ後に新しい形を模索し始めたのですが、《アズカンタの探索》が2ターン目の青マナを要求するようになり、《才気ある霊基体》を据えるのがメインであれサイドであれ、枚数が2枚であれ4枚であれ、マナベースが非常に厳しくなってしまうことに気づきました。具体的には《水没した骨塚》を3~4枚取らなければならなかったり、無色土地を積めなかったりと厳しい制約がついてしまいます。

そこまでして《才気ある霊基体》を使いたいわけでもないので、一旦別のデッキを考えてみましょう。ただし、依然として《致命的な一押し》《ヴラスカの侮辱》《強迫》《アルゲールの断血》の黒いカード群は魅力的です。


これらのカードを使った黒いデッキを何か……と考えたところ、ちょうどRPTQの練習中、カードプールの縛りで魅力を感じたり思いついたりしながらも触れなかったデッキがいくつかあったことを思い出しました。それは赤黒除去コントロール、青黒カーン、エスパーコントロールといった低速デッキでした。

赤黒除去コントロール


RPTQの練習中、自分は最初サードデッキを担当し、緑系デッキの可能性を探っていました。しかし、MO上では一時期黒単ミッドレンジが流行し、その絶望的相性差は目を覆いたくなるものでした。(相手が沼をセットしたら気持ち悪くなるぐらい)


サンプルリスト ― 『黒単』

     
- 土地26枚 -
16《沼》
2 《イフニルの死界》
4 《愚蒙の記念像》
3 《廃墟の地》
1 《オラーズカの拱門》

- クリーチャー13枚 -
2 《帆凧の掠め盗り》
4 《才気ある霊基体》
3 《戦慄の影》
2 《豪華の王、ゴンティ》
2 《歩行バリスタ》

- 呪文21枚 -
4 《致命的な一押し》
2 《喪心》
4 《大災厄》
3 《ウルザの後継、カーン》
4 《ヴラスカの侮辱》
3 《最古再誕》
1 《死の権威、リリアナ》

- サイドボード15枚 -
4 《光袖会の収集者》
4 《強迫》
2 《アルゲールの断血》
1 《帆凧の掠め盗り》
1 《喪心》
1 《死の権威、リリアナ》
2 《貪欲なチュパカブラ》



緑系デッキを諦め、自分でも黒単ミッドレンジを試してみたのですが、自分で使うとデッキの弱い部分が気になるもので、

・序盤の除去が不安定

《戦慄の影》が弱い(主に除去耐性)

《帆凧の掠め盗り》が弱い

《ウルザの後継、カーン》で引き増しても全体除去/決定打がないのでロングゲームになるだけ

…などが気になりました。

これらの不満点は概ね赤(《反逆の先導者、チャンドラ》)を足すことで解決されると考えたため、以下のようなリストを考えてみました。


杉山 雄哉―『赤黒除去コントロール』

:Download MO Format

5枚 5枚 2枚 1枚
4枚 4枚 1枚 4枚





4枚 3枚 3枚

2枚 2枚 2枚 2枚
4枚 2枚 4枚 3枚
2枚 1枚





3枚 2枚 2枚 3枚
2枚 1枚 1枚 1枚

リーグで試運転してみたところ、3-2の凡庸な成績。

しかも赤黒ミッドレンジにアドバンテージ負けしてしまい、デッキの限界を感じました。インスタント除去の少なさ、アドバンテージ獲得手段の少なさが課題です。

青黒カーン




杉山 雄哉―『青黒カーン』

:Download MO Format

5枚 5枚 2枚 4枚
4枚 4枚 2枚





2枚 3枚 3枚

4枚 1枚 2枚 1枚
2枚 3枚 3枚 1枚
3枚 4枚 2枚





2枚 2枚 2枚 4枚
1枚 1枚 2枚 1枚

先に述べたような青黒ミッドレンジと青黒コントロールの中間のような形です。お試しで《金属の叱責》をプチフィーチャーしていますが、《宝物の地図》と合わせて普通のカードに変えても全く問題ありません。

リーグで試運転してみたところ4-1の凡庸な成績。せっかくの《ウルザの後継、カーン》ですが後手時に弱く、4マナのソーサリーアクションの限界がここにも。しかし先手時の除去除去カーンの動きは非常に強く、判断保留。


エスパーコントロール


 

杉山 雄哉―『エスパーコントロール』

:Download MO Format

4枚 4枚 1枚 4枚
4枚 1枚 2枚 1枚
4枚 1枚 1枚





2枚 3枚

4枚 1枚 1枚 1枚
2枚 2枚 4枚 1枚
1枚 4枚 4枚 3枚





2枚 3枚 1枚 4枚
2枚 1枚 1枚 1枚

数枚のお試しカードはあるものの凡庸な形。

リーグで試運転してみたところしかし5-0の非凡な成績。初回しでも危なげなくプレイでき、デッキが強いと思いました。

やはり大量のインスタントカード+《奔流の機械巨人》がメタに合っていると感じます。

4.シンガポールに向けて

自分が使うデッキの可能性は、

1.赤黒除去コントロール…5%

2.青黒カーン…20%

3.エスパーコントロール…30%

4.赤系ビート 30%

5.その他 15%

といったところです。

そうです。赤系ビートを使う可能性大なのです(笑)個人的には5番目のその他デッキの天啓が降りてきてほしいところですが……

次回の記事冒頭では答え合わせの報告をしたいと思います。できれば良い結果報告もあわせて行いたいですね。

それでは最後まで読んでいただき、ありがとうございました!