こんにちは、高尾です。

『エルドレインの王権』が発売されましたね!
今回もストーリーやギミックが興味深いものばかりです。
本来クリーチャーでありながら、スペルのようにも使える一粒で二度おいしい"出来事"。
ただのポーションとは言わせない、実は様々なことに利用できる"食物"。
ウィザーズは僕らのような長年マジックをやってるおじさんにも毎度新鮮なマジックを提供してくれます。
だから飽きないんですよね、このゲーム。

ということで例のごとくスタンダードの環境分析を行い、それを踏まえて僕のお勧めデッキを最後にご紹介しようと思います。


1.新環境の指標となるデッキ達

この環境のスタンダードをあまりやってない人は、Tier1のデッキだけでも軽く押さえておきましょう。


バントフードランプ
引用元:MOCS(10/6) 優勝



24
4枚 1枚 4枚 4枚 4枚 4枚 1枚 2枚






21
4枚 4枚 4枚 3枚 2枚 4枚


15
3枚 1枚 4枚 4枚 3枚






15
2枚 3枚 2枚 1枚 1枚 2枚 2枚 2枚

前環境にいたバントランプがベースで、フード要素を足した形。
基本的な動きは変わらず、マナ加速から《世界を揺るがす者、ニッサ》を早いターンに着地させ、《ハイドロイド混成体》を巨大なサイズで唱えます。
ここにフード要素が加わったことで、ライフゲインはもちろん《王冠泥棒、オーコ》《意地悪な狼》によってこのカラーの苦手分野である盤面干渉がしやすくなりました。
それどころか《王冠泥棒、オーコ》は役目を終えたマナクリーチャーを次々に3/3にできるので、見た目以上に殴り値が高いデッキです。
《王冠泥棒、オーコ》《時を解す者、テフェリー》《世界を揺るがす者、ニッサ》とPWの三種の神器を使えるデッキとして、今最も活躍しているデッキです。



バントゴロスランプ
引用元:MOCS(10/6) 準優勝



29
1枚 1枚 1枚 2枚 1枚 2枚 4枚 1枚
2枚 1枚 1枚 1枚 1枚 2枚 1枚 1枚
1枚 2枚 2枚 1枚






15
2枚 2枚 4枚 2枚 2枚 3枚


16
4枚 3枚 4枚 1枚 4枚






15
1枚 2枚 2枚 1枚 1枚 2枚 1枚 2枚
1枚 2枚

こちらも前環境にいたゴロスランプの改訂版。
《死者の原野》を軸にしたデッキで、早ければ4ターン目からゾンビトークンが次々に湧き出てきます。
新規で加入したカードとしては、マナ加速兼フィニッシャーにもなる《豆の木の巨人》、全体除去兼フィニッシャーにもなる《王国まといの巨人》などデッキに非常にマッチしています。
《寓話の小道》は中盤以降アンタップインできる土地として強力ですが、《死者の原野》を二度誘発させることができるこのデッキでは犯罪的な強さです。
一見するとフードランプの亜種ですが、消耗戦では《死者の原野》を要したこちらに分があるので、今後さらに数を増やすと思われます。



ジェスカイファイアーズ
引用元:環境初陣戦 優勝



27
4枚 4枚 3枚 2枚 4枚 3枚 1枚 1枚
2枚 2枚 1枚






4
4枚


29
3枚 4枚 2枚 2枚 2枚 4枚 4枚 4枚
3枚 1枚






15
2枚 1枚 1枚 1枚 1枚 1枚 1枚 1枚
1枚 1枚 1枚 1枚 1枚 1枚

《創案の火》を着地させ、重い呪文を1ターンに2回ずつ唱えるコントロールデッキです。
《創案の火》《荒野の再生》のようなカードで、実質フリースペルとして運用することができるので、着地させたターンも隙がありません。
デッキが3~6マナに偏っている関係で序盤こそ隙が大きいものの、《轟音のクラリオン》で細かいアグロデッキやマナクリーチャーを一掃できます。
ある程度盤面を掌握したら、PWを複数並べて《主無き者、サルカン》で一気に殴りきります。
唯一のクリーチャーである《願いのフェイ》は、序盤は頼もしいブロッカーになる上に、4マナと重い出来事も《創案の火》がある状況下なら全く気になりません。
サイドボードには《願いのフェイ》でサーチ用の1枚挿しのカードが多く、様々な場面に対応できるようになっています。

他にもエスパースタックスや赤黒アグロ、ゴルガリorセレズニアアドベンチャーなど色々存在しますが、アリーナでよく当たるのは主に上記3つのデッキです。


2.現環境の特徴

僕がスタンダードを練習していく中で分析した、現環境の特徴がいくつかあるのでご紹介します。

・2点火力は豊富にあるが、3点火力はほぼ飛んでこない。
《ショック》《砕骨の巨人》でタフネス2以下はかなり処理されやすいので、赤いアグロやミッドレンジを相手するときは注意しましょう。
《意地悪な狼》はフードがない状況下でもパワー2以下を狙い撃ちしていきますし、《樹上の草食獣》もパワー2を優しくキャッチするので《灰色熊》はあまり期待できない環境と言えます。
逆に《稲妻の一撃》がスタン落ちしたことで、3点火力はほぼ飛んでこないのでタフネス3は生き残りやすい印象です。
ただし《轟音のクラリオン》だけは要注意!

・全体的に遅めの環境
チェックランドがついにスタン落ちし、多くのデッキがマナベースに被害を被りました。
対抗色には占術ランドがありますが、有効色はまともな土地がショックランドと《寓話の小道》しかないので非常にタイトです。
いくら赤黒好きの僕でも、均等2色の赤黒アグロを組む気は起きないですね。
対抗色で組むにしても3色で組むにしても、タップインランドが必ず入るので比較的遅いレンジのデッキが多い印象です。

・アグロは単色気味になりやすい
上記マナベースの理由から、1ターン目から展開するアグロは単色気味に構築されることが多いです。
実際『エルドレインの王権』のリミテッド環境は、比較的単色を推奨しているのでそれがスタンダードにも影響を及ぼしています。

・カウンターが通用しづらい
かの《反射魔道士》もびっくりの《時を解す者、テフェリー》は、今や色さえ合えば4枚入るいわゆる"使い得"カードになっています。
そのため、本来ランプやコントロールに対して有効なはずのカウンター呪文はほとんど使われていないのが現状です。
マジックは基本的に相性のゲームですが、このカードの存在でそれも関係なくなってしまうため、僕は数年前の《暴れ回るフェロキドン》よりたちが悪いと感じてます。
《時を解す者、テフェリー》に対抗するには、相手よりどっしりしたカードで戦うor相手より高速で攻めるしかありません。


3.アグロが生き残る道

僕はアグロ好きのビルダーとして、これまで様々なアグロデッキをご紹介してきましたが、正直今回ばかりは模索するのに骨が折れました。
何せアグロにとってマナベースはタイトですし、《灰色熊》サイズに人権はないときてます。
こうしてアグロが消える未来を見据えて、よりどっしりしたゴロスランプをお勧めしようとさえ思いましたが、ここで屈すればビルダーの名折れ。
色んなアグロを組んでは解体を繰り返しました。

そしてたどり着いた答えは・・・

環境の特徴から導いた「単色ベースで構築し、3/3以上のサイズでビートダウンする」です。


4.お勧めデッキ


緑単アグロ



24
23枚 1枚






30
4枚 3枚 4枚 4枚 4枚 4枚 3枚 4枚


6
3枚 3枚






15
4枚 2枚 2枚 1枚 1枚 1枚 1枚 3枚

各単色アグロの中でも緑を選んだのは、サイズが大きいからというのはもちろんですが、何より《探索する獣》が環境的にかなり強いからです。
『エルドレインの王権』注目カードTOP5でも述べた通り、PWに対してテンポを挫かれずに処理できますし、《死者の原野》で何体トークンが出ようとブロックされません。
《轟音のクラリオン》でも死なないのであらゆる面で強いです。

その他のカードの採用理由について説明します。

《生皮収集家》

1ターン目のベストカード。
ほぼターン数に応じてサイズが上がっていき、このデッキなら最大で5/5まで育つので常にプレッシャーがあります。

《僻森の追跡者》

《恋煩いの野獣》から出てくるトークン以外は全て人間以外なので、ほぼ2/2を維持することができます。

《成長室の守護者》

《軍団の最期》が前環境から数を減らしたことから、再び価値が高まってきました。
テンポは良くないですが、なんだかんだ息切れ対策として必要な存在です。

《クロールの銛撃ち》

《金のガチョウ》《願いのフェイ》を一方的に討ち取ったり、《ハイドロイド混成体》《悪ふざけの名人、ランクル》《騒乱の落とし子》を除去できるアタッカー。
相手の飛行と相打ちできれば、《生皮収集家》を一気に二段階成長させることもできます。

《樹皮革のトロール》

環境的に3/3というサイズが偉いのは説明した通りです。
《アーク弓のレインジャー、ビビアン》でカウンターを乗せることで呪禁つけ放題になります。

《恋煩いの野獣》

1/1+5/5という破格の性能ですが、1/1を《時を解す者、テフェリー》でバウンスされたりすると攻撃できなくなる可愛い子。
そのため《生皮収集家》《僻森の追跡者》を1枚は温存しておきたいですね。

《ギャレンブリグの領主、ヨルヴォ》

概ね3マナ5/5、6/6相当。
《探索する獣》と同じく《轟音のクラリオン》で流されないのが素晴らしいですね。
レジェンドですが4枚入れてもいいくらいには強力です。

《アーク弓のレインジャー、ビビアン》

《探索する獣》にカウンターを乗せることで、接死&トランプルになるのでかなりのダメージが貫通します。
一方格闘の能力も《探索する獣》と相性がいいですし、PWと格闘できるのも環境的に強みです。

《世界を揺るがす者、ニッサ》

言わずと知れた三種の神器のうちの1体。
全体除去に弱い構成なので、恒久的にクリーチャーを生成できるカードはメインに必須です。

サイドボードはまだ粗い部分が多いので割愛しますが、基本的には《アーク弓のレインジャー、ビビアン》のサーチ用と、ランプやコントロールに刺さるカードを採用しています。


5.おわりに

正直緑単色のデッキは不器用であまり好きではないのですが、アグロの中ではこれが一番しっくりきました。
一応ベースは前環境名人戦を制覇したデッキなので、ある程度の強さは保証します。
《王冠泥棒、オーコ》が高すぎて買えない!という方は、むしろそのデッキを狩る気構えでこのデッキを手に取ってみて下さい。
それでは!