こんにちは、高尾です。

今回はスタンダードにおけるデッキ選択についてのお話です。いつもなら僕のオリジナルデッキやお勧めデッキをご紹介するのですが、一つ懸念があったので今回は趣旨を少し変えてみることにしました。

はじめに


僕は普段こういう記事を書くにあたり、今現在のメタに合った風変わりな強いデッキをご紹介するようにしています。

さすがに最低限勝てないと読者さんも使う気にならないと思いますし、見慣れた普通のデッキだと本当に細かな調整過程やサイドボーディングがないと見る価値がないからです。

話は少し逸れますが、僕は『プロツアー・ラヴニカのギルド』に参加しないにも関わらず『チーム武蔵』調整グループの練習に付き合っていました。

というのも僕がプロツアーに出る際は練習でよくお世話になっていますし、ダブルGPの『グランプリ静岡』が控えていることもあってスタンダードだけでも早めに練習しておきたかったからです。

僕は主にボロス担当だったこともあり、白単タッチ赤はもちろんのこと、赤がそれより濃い目のボロスアグロやボロスエンジェルなどあらゆるボロスを調整しました。

変化し続けるメタゲーム


そんなわけで、今回は武蔵の調整で培った"究極のボロスアグロ"をお届けしようと意気込んでいましたが・・・。

出ましたよ、急に勝てなくなる現象!

プロツアー直前までは競技リーグでほぼ4-1以上、多少下ぶれても3-2するほど安定していたボロスアグロでしたが、プロツアーで白単タッチ赤が優勝を飾ったことで過剰に意識されるようになったのです。

厳密には苦手なマッチアップである赤単アグロやセレズニアトークンが増えた影響が大きいです。

ちなみにプロツアーではそれ以外である黒緑ミッドレンジやジェスカイコントロール、青赤ドレイクなどが多くて白赤系アグロの独壇場でした。

このように昨今のスタンダードはメタゲームが変化しやすい傾向にあります。プロツアーに限らずグランプリやMOPTQの結果もメタゲームに影響しやすく、毎週のように勝つデッキは変わっています。

僕が「このデッキが今熱い!」という記事を書いてもその週末にはまたメタが変化して一瞬で賞味期限切れになったりするわけです。

(例外として前環境の赤黒アグロのように、ほぼ一強が続くパターンも稀にあります。)

そういうわけで今回はデッキ紹介記事を諦め、趣旨を変えることにしました。

前置きが長くなってしまいましたが、僕が今回の記事でお伝えしたいのは"大会でどのデッキを使うべきか?"です。

もちろん現段階では僕には見当もつきません。
なぜならその直前で何が勝つのか誰にもわからないからです。

ではただ時が流れるのを待ち、ぼーっとしてていいのでしょうか?

否。Tier1、Tier2のデッキを回してそれぞれの相性を理解し、グランプリ直前で何が勝っても最善のデッキ選択ができるよう備えるのが賢明です。


各マッチアップの相性


現在のメタゲームには主に8つのアーキタイプが存在しています。


Tier1


【白赤アグロ(白単やタッチ赤含む)】



【ジェスカイコントロール】


【黒緑ミッドレンジ】


【青赤ドレイク】



Tier2


【赤単アグロ】



【青単アグロ】



【白緑トークン】



【ボロスエンジェル】



ローテーション後とは思えないほど多種多様ですね。

そして下記が僕が感じている各マッチアップの相性表です。全てのアーキタイプを回したわけではないので、見当違いのものもあるかもしれませんがその点はご了承下さい(汗)


各相性について解説したいのですが、28項目と量が膨大すぎます。

ですので特に自信を持ってお伝えできる白赤アグロのみ、各マッチアップとの相性について解説しようと思います。興味のない方は読み飛ばして下さい。

一応白赤アグロのサンプルリストを載せておきます。


【白赤アグロ】

14枚 4枚 2枚





4枚 4枚 4枚 2枚
4枚 4枚 4枚

4枚 2枚 4枚 4枚





4枚 3枚 1枚 3枚
2枚 2枚


白赤アグロvsジェスカイコントロール

白赤側がやや有利です。
1ターン目からのアクションが多く、基本的に3ターン目まではぶん回ってきます。

対するジェスカイ側は押されている状況下では強くない数多くのカウンターとドロースペル、出るターンが遅いフィニッシャーと序盤の有効牌が非常に限られています。

《轟音のクラリオン》が唯一序盤を凌げる可能性を秘めていますが、《不屈の護衛》《追われる証人》《アダントの先兵》の数次第ではさほど決定打にならないことも。《短角獣の歩哨》《敬慕されるロクソドン》で強化されるだけでも《轟音のクラリオン》の圏外になってしまうので過信は禁物です。

サイド後は《実験の狂乱》《暴君への敵対者、アジャニ》で多角的に攻められるのでさらに辛くなります。


白赤アグロvs黒緑ミッドレンジ

ここでの黒緑ミッドレンジは《殺戮の暴君》型とします。

《野茂み歩き》の枚数にもよりますが、一般的な2枚以下の場合は白赤アグロがやや有利です。
黒緑側は地上が硬いのでそこそこ序盤は凌げますが、決定打となる《最終》を打てるのが6ターン目とかなり遅めです。

《ラノワールのエルフ》でできるだけ早いターンに打つか、《野茂み歩き》で高いライフを保つことが勝ちパターンとなります。

サイド後は《黄金の死》が入って黒緑側は立ち回りやすくなりますが、白赤側も重くしてくるので一筋縄ではいきません。


白赤アグロvs青赤ドレイク

《ゴブリンの電術師》の枚数次第ですが、白赤側がかなり有利です。例え4枚の形だとしても白赤側がやや有利な認識です。青赤側はこれを2ターン目に出すことがマストで、そうでもないと手数が全く追いつかずドロースペルを連打してる暇はありません。

サイド後は《焦熱の連続砲撃》をうまく刺さるタイミングで打つか、《幻惑の旋律》《ベナリア史》のトークンを奪えるとだいぶ楽になります。

最近はメインの《ショック》4枚に加えてサイドから《シヴの火》を追加するのがトレンドのようで、それも有効な手段だと思います。

また、《英雄的援軍》を採ってる形の場合は《呪文貫き》も刺さります。3マナや4マナを1マナで弾けば形成逆転のチャンスです。ちなみにこのマッチアップはテンポゲーになりやすいので、白赤側はサイド後重くすべきではありません。


白赤アグロvs赤単アグロ

白赤側がやや不利です。

《ゴブリンの鎖回し》の能力はさることながら、3/3先制攻撃が邪魔で全く攻撃が通りません。
ここに《議事会の裁き》を使用すると今度は《実験の狂乱》を張られて大変な目に遭います。

サイド後も《黎明をもたらす者ライラ》でも採ってない限り相性を覆せないので、厳しい戦いを強いられます。

赤単側の負けパターンとしては《敬慕されるロクソドン》を早いターンに出されることなので、召集元は優先して焼くようにしましょう。


白赤アグロvs青単アグロ

基本的に先手ゲーになりやすくほぼ五分です。
お互い相手のクリーチャーに干渉する手段が乏しく、受けることが困難なので殴り合うしかありません。

打点は白赤の方が高いですが、青単は終盤のチャンプブロックや《マーフォークのペテン師》のタップで調整してくるので意外と同じくらいのダメージレースになります。

ちなみに《アダントの先兵》が攻撃した後に《マーフォークのペテン師》を出されると、破壊不能を付与してもその後ただの1/1になってしまうので討ち取られてしまいます。

ですので白赤側は第1メインで呪文を唱え、カウンターされたらマナが寝てる隙に《アダントの先兵》で攻撃、カウンターされなければ敢えて攻撃せずにターンを返すプレイも重要になってきます。


白赤アグロvs白緑トークン

白赤側がかなり不利です。
序盤はどちらも似たような動きをしますが、白緑側の方が頭数が多く中盤以降は全く攻撃が通りません。

《大集団の行進》による膨大な数の絆魂トークン、《不和のトロスターニ》《暴君への敵対者、アジャニ》による全体強化でサイズも圧倒されます。

先手で《ベナリア史》を複数枚連打するか、一方的な《敬慕されるロクソドン》で早めのマウントを取るくらいしか白赤側の勝ち筋はないでしょう。どちらのパターンも白緑側もできる動きなので本当に分が悪いです。


白赤アグロvsボロスエンジェル

白赤アグロ側がやや不利です。
近頃はメインに《轟音のクラリオン》が採用されていないので付け入る隙はありますが、それでも3種の天使が厄介です。

どれに《議事会の裁き》を使っても二の矢、三の矢が出てきますし、どれも残ったらゲームエンド級なので序盤にどれだけクロックを作れるかが鍵になります。3ターン目までぶん回ってかつ《議事会の裁き》を持ってれば勝機はあるでしょう。

ボロスエンジェル側は相手の《アダントの先兵》に手を焼くので、こちらも《アダントの先兵》で止めて応戦しましょう。


最善の選択


その他のマッチアップについてはご自身で回してみるなり、そのデッキのマスターに聞くなりして恐らく間違っているであろう上の相性表を完璧なものにして下さい。

全ての相性を理解すれば、大会直前でも柔軟にデッキを乗り換えることができるようになるでしょう。
例えば目標とする大会の前週に、白赤アグロとジェスカイコントロールが勝っていたなら白緑トークンを選ぶべきですし、ジェスカイコントロールと黒緑ミッドレンジが勝っていたなら白赤アグロを選ぶべきです。

ポイントとしては勝ちたいデッキを2つに絞ることですね。
3つ以上ともなると、どれかに勝てても他のどれかに勝てなくなり本末転倒です。

完璧なデッキなんて存在しないのですから、その時々に応じて最善のデッキ選択ができるよう努めましょう。
少しでも『グランプリ静岡』に出られる方の参考になれば幸いです。

それでは!